●原始のすき焼きは味噌だった?!
「独自進化した 味噌すき焼き」
<<原初のすき焼き、復活–>独自進化しました>>
よくみなさまも召し上がっておられる”すき焼き”。実は、醤油ではなく、味噌を使って味付けされていたものが原型だったのです!しかし既にほぼ絶滅してしまいました。絶滅したのは理由があるはず、そう思われたと思います。その通りで、それは二つ下のパラグラフに記しておりますが、決して味が悪かったというわけではありません。今季の寿司ふじの肉料理は、ほぼ途絶えてしまっていた「味噌すき焼き」を、寿司ふじ流に再解釈し、そして進化させるというチャレンジでもありました。もちろんそのチャレンジは、大成功であります!
<<始まりはこの論文だった>>
酒係がまだ生物の研究をしていたころに、知り合いに教えていただいた下の論文が、このお料理の原点です。この論文では、すき焼きの原点である牛鍋について歴史や今は知る由もない味わいの考察をしています。その断片的な知識から寿司ふじ流に進化させたのが、今回の「独自進化した 味噌すき焼き」です。
“「牛鍋」はどんな鍋だったかー『安愚楽鍋』を中心にー 坂井健著 京都語文 (9), 212-227, 2002-10-05”
<<残念ながら原初のすき焼きはほぼ絶滅。現在は醤油ベースの味に>>
牛肉を食べ始めた明治時代に遡ります。当時の東京で流通していた牛肉は未発達な処理技術のせいで臭味が強かったそうです。そのため、味噌で強い味付けと匂い消しをしていたようです。しかし、流通ルートが整備されるとともに、臭み問題も解消されたとのこと。匂い消しを必要としなくなるとともに、醤油ベースのすき焼きに置き換わっていき、現在では味噌のすき焼きはほぼ絶滅。。。
ですが、この情報を読んだ時、若大将と酒係は「勿体無い。。。醤油ベースのすき焼きが主流になることで、日本人は一つのすき焼きの未来を失った」と思ったのでした。これを復活させ、さらなる進化をさせてみる!ということでチャレンジしたのが、今回のお料理です。
<<味噌と肉を最適化する>>
おそらく原始の味噌すき焼きは、味噌を出汁に溶かしていただけだと考えられます。しかし、それでは面白くない!ということで、、、
1)旨味甘味中心の味噌が完成:
何と言っても重要なのが味噌。味噌はどうしても塩辛くなります。味噌すき焼きが流行っていた明治初期では、砂糖が貴重な時代でもありましたし、おそらく初期の味噌ベースのすき焼きは甘みというより塩辛さにバランスが偏っていると推測できます。とき卵と合う味噌はなかなか難しい難題でしたが、若大将が完成させました。
2)牛肉は希少部位赤身の最高峰 ビワハラミ:
3~4月に大人気だったビワハラミ。今回もお出ししていきます!本来のすき焼きは、肉を薄く切ります。しかし、今回の味噌すき焼きの場合、味噌がつきすぎてしまいます。そこで、最高の部位であるビワハラミを分厚く切ることで、その問題を解決しました。また、お客様自身に焼いていただくのですが、その前にお肉には4時間の火入れをした、旨味を引き出した手の込んだものをお出しします。
